特定技能2号への移行を検討している企業や、すでに特定技能2号外国人を雇用している企業では、在留資格の申請時に「どのような仕事を任せるのか」をこれまで以上に明確にしておく必要があります。
出入国在留管理庁は、2026年8月5日、「2号特定技能外国人の業務内容について」を公表しました。
これにより、2026年8月20日以降に行う特定技能2号に関する在留諸申請では、**「2号特定技能外国人の業務内容に関する誓約書」**の提出が必要となりました。
この変更は、特定技能2号への在留資格変更申請だけではなく、在留資格認定証明書交付申請や在留期間更新許可申請にも関係します。
本記事では、特定技能を専門とする行政書士の立場から、
- 特定技能2号の業務内容とは何か
- 認定申請・変更申請・更新申請で何が変わったのか
- 特定技能1号と2号の仕事内容は何が違うのか
- 自社支援を行う企業が注意すべきポイント
- 行政書士に申請を依頼するメリット
について、企業の担当者の方にも分かりやすく解説します。
1.特定技能2号の申請で「業務内容」がより重要に
特定技能2号は、単に「特定技能1号より長く日本で働くことができる在留資格」というものではありません。
特定技能2号では、長年の実務経験等によって身につけた熟練した技能を有し、さらに、自らの判断で高度に専門的・技術的な業務を遂行できることや、監督者として業務を統括できる能力などが求められています。
そのため、特定技能1号の外国人と同じ仕事を続けているだけでは、特定技能2号としての業務内容を適切に説明できない可能性があります。
今回の出入国在留管理庁の資料では、特定技能2号外国人が従事する業務について、技能実習生や1号特定技能外国人が従事する業務との違いを確認することが示されています。
つまり、企業側としては、
「この外国人が2号として、具体的にどのような仕事をしているのか」
を説明できるようにしておくことが重要です。
2.2026年8月20日以降、特定技能2号の在留申請で誓約書が必要に
2026年8月20日以降に特定技能2号について在留諸申請を行う場合、「2号特定技能外国人の業務内容に関する誓約書」の提出が必要となりました。
この変更によって、申請時には外国人本人の資格や経験だけではなく、実際に勤務する企業でどのような業務に従事するのかについても、より具体的な確認が行われることになります。
対象となる申請を考える際には、少なくとも次の3つを区別して考える必要があります。
在留資格認定証明書交付申請
海外にいる外国人を特定技能2号として新たに受け入れる場合などに行う申請です。
在留資格変更許可申請
すでに日本に在留している外国人が、例えば特定技能1号から特定技能2号へ変更する場合などに行います。
在留期間更新許可申請
すでに特定技能2号として日本で働いている外国人が、引き続き特定技能2号として在留するために行う申請です。
いずれの場合も、「申請書類上の仕事内容」と「実際の仕事内容」に食い違いがないかを確認することが重要です。
3.特定技能1号と特定技能2号は同じ仕事でよいのか?
ここは、企業からよく相談を受けるポイントです。
特定技能2号については、各分野の運用方針において、例えば複数の作業員を指導することや工程を管理する業務などが示されています。JITCOも、特定技能2号については技能実習生や特定技能1号とは従事する業務が異なることを説明しています。
したがって、
「今まで特定技能1号として働いていたので、2号になっても仕事内容は全く同じです」
という説明では、2号としての業務内容を十分に説明できない可能性があります。
もちろん、実際の仕事内容は分野によって異なります。
そのため、特定技能2号への変更を検討するときには、
①特定技能2号本人の仕事内容
②特定技能1号・技能実習生等の仕事内容
③2号外国人が指導・監督する対象者
④工程管理・現場管理などの業務
⑤各分野の運用方針で認められている業務
を整理することが重要です。
4.「役職名」だけで特定技能2号の業務内容を判断しない
特定技能2号への変更を検討する際に注意したいのが、「店長」「リーダー」「主任」「現場責任者」などの肩書きだけで判断してしまうことです。
重要なのは、役職名そのものではありません。
例えば「リーダー」という役職であっても、実際には特定技能1号外国人と同じ作業だけを行っており、他の従業員への指導や工程管理などを行っていないのであれば、特定技能2号としての業務内容をどのように説明するのか、慎重に検討する必要があります。
反対に、正式な役職名が「主任」などでなくても、実際に複数の従業員を指導したり、工程を管理したり、熟練した技能を活用して現場を統括しているのであれば、その実態を具体的に整理することが重要です。
特定技能2号の申請では「肩書き」よりも「実際に何をしているのか」が重要です。
5.自社支援をしている企業も「申請後」の管理が重要
特定技能1号については、受入れ企業が自ら支援を行う「自社支援」という方法があります。
特定技能1号外国人に対する支援については、受入れ機関が支援計画を作成し、その計画に基づいて支援を行う必要があります。
支援の全部または一部を登録支援機関へ委託することもできます。
一方で、自社支援を選択した場合には、企業自身が支援体制を整え、必要な支援を適切に実施する必要があります。
さらに、特定技能所属機関には、支援実施状況などについて入管への届出が必要となる場合があります。
出入国在留管理庁は、特定技能所属機関について、受入れ・活動・支援実施状況などの届出制度を設けています。
つまり、
「特定技能の在留資格変更申請が許可されたから、それで終わり」
ではありません。
採用後の雇用管理、支援、届出、契約変更などを継続的に適切に行うことが重要です。
6.自社支援だから行政書士は必要ない?
「自社支援をしているので、行政書士に依頼する必要はないのでは?」
という疑問を持つ企業もあると思います。
確かに、自社支援と行政書士による在留申請は別の問題です。
自社支援とは、主に特定技能1号外国人に対する支援を企業自身で行う仕組みです。
一方、行政書士は、在留資格認定証明書交付申請、在留資格変更許可申請、在留期間更新許可申請などの入管手続について、申請書類の確認・作成や申請取次などを行うことができます。
そのため、
「自社支援をする企業+特定技能に詳しい行政書士」
という組み合わせも可能です。
例えば、
- 外国人への生活支援は自社で行う
- 雇用管理も自社で行う
- 在留資格の認定申請は行政書士に依頼する
- 変更申請・更新申請も行政書士に依頼する
- 制度変更があった場合に行政書士へ相談する
という運用です。
企業が自社で対応する部分と、行政書士へ依頼する部分を明確に分けることで、担当者の負担を抑えながら特定技能制度を適切に運用することができます。
7.特定技能の認定申請・変更申請・更新申請で確認したいこと
特定技能の在留申請では、単に申請書に必要事項を記入して提出すればよいというものではありません。
特に特定技能2号の場合には、次のような点を事前に確認しておくことをおすすめします。
① 外国人本人の要件
- 必要な技能水準を満たしているか
- 必要な実務経験等があるか
- 技能試験等の要件を満たしているか
- その他、分野ごとの要件を満たしているか
② 会社側の要件
- 特定技能所属機関として必要な基準を満たしているか
- 雇用契約が適切か
- 報酬が適切か
- 労働関係法令を遵守しているか
- 分野ごとの受入れ要件を満たしているか
③ 実際の仕事内容
- 特定技能2号として認められる業務か
- 特定技能1号等の仕事内容と適切に区別されているか
- 指導・監督する対象者がいるか
- 工程管理等の業務を行っているか
- 申請書類と実際の業務内容に矛盾がないか
④ 申請後の運用
- 雇用条件に変更がないか
- 支援計画に変更がないか
- 必要な届出を行っているか
- 実際の業務内容が申請時の内容から大きく変わっていないか
特定技能制度では、雇用契約や支援計画などについて変更が生じた場合の届出も定められています。出入国在留管理庁は、特定技能所属機関による雇用契約の変更、支援計画の変更、支援委託契約の変更などについて随時届出の仕組みを設けています。
8.特定技能2号の申請は「書類作成」だけで考えない
特定技能の在留資格認定申請、変更申請、更新申請では、必要書類を集めて申請書を作成することも重要です。
しかし、それ以上に重要なのが、
「なぜ、この外国人がこの会社で、この仕事内容をするのか」
を一貫して説明できる状態にしておくことです。
特に特定技能2号の場合、
「1号から2号に変更したい」
という外国人本人の希望だけではなく、
会社が実際にどのような業務を任せているのか
という雇用実態との整合性が重要になります。
申請書、雇用条件書、雇用契約書、業務内容、社内の役職・組織体制などを確認し、内容に矛盾がないかを申請前にチェックしておくことをおすすめします。
9.特定技能の申請を行政書士に依頼するメリット
特定技能制度は、制度改正や提出書類の変更が行われることがあります。
実際、出入国在留管理庁は2026年10月1日にも「特定技能に係る提出書類一覧表」を改定しています。
そのため、過去に特定技能の申請をしたことがある企業であっても、
「前回と同じ書類を出せば大丈夫」
とは限りません。
特定技能を専門とする行政書士へ依頼することで、
- 最新の申請書類を確認する
- 認定申請の要件を確認する
- 変更申請の可否を確認する
- 更新申請の問題点を事前に確認する
- 雇用契約や業務内容を確認する
- 申請書類間の矛盾をチェックする
- 入管への申請取次を依頼する
といった対応が可能になります。
特に特定技能2号への変更申請では、外国人本人の技能・経験だけではなく、受入れ企業における実際の業務内容まで含めて確認することが重要です。
10.まとめ|特定技能2号は「誰が申請するか」だけでなく「どんな仕事をするか」が重要
今回の出入国在留管理庁の取扱い変更によって、特定技能2号の在留諸申請では、外国人が実際にどのような業務に従事するのかを、より具体的に説明することが求められるようになりました。
特に、
特定技能2号の在留資格認定申請
特定技能1号から2号への変更申請
特定技能2号の在留期間更新申請
を検討している企業は、申請前に実際の業務内容を整理しておくことが重要です。
また、特定技能1号について自社支援を行っている企業も、支援業務だけでなく、雇用契約や届出、在留資格申請などを含めて継続的に制度を管理する必要があります。
「この仕事内容で特定技能2号に変更できるのか?」
「特定技能1号と2号の仕事内容をどう区別すればよいのか?」
「自社支援を続けながら、在留資格の申請だけ行政書士に依頼できるのか?」
「認定申請・変更申請・更新申請のどれを選択すればよいのか?」
このような疑問がある場合には、申請直前ではなく、できるだけ早い段階で専門家に相談することをおすすめします。
特定技能制度は、外国人本人の要件だけでなく、受入れ企業の体制・雇用契約・実際の業務内容・支援体制まで含めて総合的に確認することが重要な制度です。
当事務所では、特定技能外国人の受入れを検討している企業様を対象に、在留資格認定証明書交付申請、在留資格変更許可申請、在留期間更新許可申請など、特定技能に関する入管手続をサポートしています。
特定技能1号から2号への移行、自社支援を行っている企業の在留資格申請、特定技能外国人の採用・在留資格変更・更新などでお困りの企業様は、お気軽にご相談ください。
参考資料
出入国在留管理庁「2号特定技能外国人の業務内容について」
出入国在留管理庁「特定技能関係手続」
出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援・登録支援機関について」

