2026年10月19日、第15回「特定技能制度及び育成就労制度の基本方針及び分野別運用方針に関する有識者会議」が開催されました。

外国人材を受け入れる企業・介護事業者にとって、今回押さえておきたいのは、育成就労の受入れ上限と、介護分野における特定技能1号・育成就労の枠の配分見直しです。

採用に必要な条件を確認する際は、外国人本人の資格や受入企業の体制に加え、分野全体の受入れ枠にも目を向ける必要があります。本コラムでは、公表資料をもとに、行政書士事務所の視点から実務への影響を解説します。

※会議資料の「案」は、正式な改正・適用開始と区別して記載しています。

1.育成就労にも分野ごとの受入れ上限がある

育成就労制度は、2027年4月1日の施行に向けて準備が進められています。受入れに当たっては、分野ごとに設定された「受入れ見込数」が上限として運用されます。

入管庁のQ&Aでは、在留者数が上限を超えると見込まれる場合、特定技能1号では在留資格認定証明書の交付を、育成就労では育成就労計画の認定を一時的に停止する仕組みが説明されています。[2]

そのため、企業側で候補者や配属先が決まっていても、制度の運用状況によって採用日程に影響が生じる可能性があります。求人募集や海外の送出機関との調整を始める前に、対象分野の受入れ状況を確認することが大切です。

なお、分野全体の上限と、個々の事業者が受け入れられる人数・体制の要件は別の確認事項です。分野に枠が残っていることだけで、自社の受入れが認められるわけではありません。

2.介護分野は、育成就労から特定技能1号へ2万人分を移す案

今回の会議資料では、介護分野の合計枠を維持したまま、育成就労の枠の一部を特定技能1号へ振り替える案が示されました。[3]

区分現行の受入れ見込数配分変更案増減
特定技能1号「介護」126,900人146,900人+20,000人
育成就労「介護」33,800人13,800人−20,000人
介護分野の合計160,700人160,700人変更なし

ここでいう枠の移動は、制度上の受入れ見込数の配分変更です。育成就労で働く外国人の在留資格が、自動的に特定技能へ変わるという意味ではありません。

介護事業者としては、合計人数に加え、自施設が利用しようとする制度に、どれだけの枠が配分されるかを確認する必要があります。

3.特定技能「介護」の需要増加が見直しの背景に

資料3-2では、特定技能1号「介護」の在留者数が想定以上のペースで増加しており、現行配分のままでは2027年度後半に受入れ見込数を超える可能性があるとされています。[3]

特定技能の枠を増やす案は、こうした需要に対応するためのものです。一方、育成就労での受入れを検討する施設にとっては、計画の前提となる枠が縮小する案である点にも注意が必要です。

行政書士として採用計画を確認する際には、「いつまでに何人必要か」「候補者はどの在留資格で就労する予定か」「教育にどれだけの期間と人員を確保できるか」を整理することが重要だと考えます。

制度の選択は、人数枠の大小だけで決めるものではありません。候補者の技能・日本語能力、育成方針、施設の支援体制を踏まえて検討することが必要です。

4.施設給食や航空分野でも見直し案

介護施設に関係する論点として、外食業分野における医療・福祉施設給食業等を、2027年度から緊急的な措置として飲食料品製造業分野で受け入れる案も示されています。[4]

介護施設内で働く場合でも、介護業務と給食調理業務では、確認すべき対象分野・業務が異なります。施設給食に従事する人材を採用する場合は、契約先、勤務場所、実際の担当業務を整理し、正式な改正内容に照らして判断する必要があります。

また、分野別運用方針の改正案には、航空分野で空港グランドハンドリングを育成就労の対象として設定する内容も含まれています。[5]

企業は、人数枠と併せて、自社の業務がどの分野・業務区分に該当するのかを確認しておきましょう。

5.受入企業・介護事業者が今から準備したいこと

まず、自社の採用予定を制度別・時期別に整理することをお勧めします。特定技能による採用、育成就労による受入れ、現在雇用している外国人の在留資格変更・更新を分け、必要な手続と予定日を把握しましょう。

次に、公表された改正案を、そのまま現在の申請に適用できると考えないことが大切です。正式な分野別運用方針、適用開始日、経過措置を確認した上で、候補者や紹介会社、送出機関と日程を調整します。

さらに、採用後の育成・定着まで見据えた準備も欠かせません。日本語学習、現場での指導担当者、相談対応、試験受験に向けた支援などを具体化することで、採用計画を継続的な人材確保につなげやすくなります。

外国人材の受入れは、最新の運用と現場の体制を併せて確認

今回の会議資料からは、分野ごとの需要に応じ、特定技能と育成就労の配分や対象業務を調整しようとする方向が読み取れます。

受入企業に必要なのは、制度変更の情報を、自社の採用時期・業務内容・教育体制に落とし込むことです。特に介護分野では、枠の見直しの動向を確認しながら、中長期の人員計画を立てることが重要になります。

L&C行政書士事務所では、特定技能外国人の受入れ、在留資格の変更・更新、育成就労制度への対応に関するご相談を承っています。制度の動向を踏まえ、自社に合った受入方法を検討したい場合は、お気軽にご相談ください。

※本コラムは2026年10月24日時点で確認できた公表資料に基づくものです。配分変更等の案については、今後の正式な改正・適用時期をご確認ください。

主な出典

  1. 出入国在留管理庁「第15回特定技能制度及び育成就労制度の基本方針及び分野別運用方針に関する有識者会議」
    https://www.moj.go.jp/isa/03_00204.html
  2. 出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」
    https://www.moj.go.jp/isa/applications/faq/ikusei_qa_00002.html
  3. 資料3-2「介護分野における特定技能1号・育成就労の受入れ見込数の配分変更(案)について」
    https://www.moj.go.jp/isa/content/001472908.pdf
  4. 「外食業分野における医療・福祉施設給食業等の飲食料品製造業分野での受入れ」に関する会議資料
    https://www.moj.go.jp/isa/content/001472906.pdf
  5. 「特定技能制度及び育成就労制度の分野別運用方針の改正」に関する会議資料
    https://www.moj.go.jp/isa/content/001472909.pdf

参考記事:irohana journal「【2026.10最新】育成就労・特定技能に関する有識者会議の開催、どのような議論が行われた?」
https://iro-hana.com/journal/trend/ikusei-tokutei-ginou-council/