技能実習2号を修了した外国人を、引き続き自社で雇用したい。

その場合の有力な選択肢が、技能実習から特定技能1号への在留資格変更申請です。

ただし、注意したいのが「申請が間に合わない」というケースです。

特定技能への変更申請は、書類をそろえて申請すればすぐに働けるわけではありません。特に、技能実習の修了日と在留期限、特定技能としての就労開始日をしっかり確認し、早めに準備することが重要です。

技能実習から特定技能への変更は早めの準備が重要

技能実習生が日本に在留したまま特定技能1号へ移行する場合、在留資格変更許可申請を行います。

出入国在留管理庁も、技能実習から特定技能への変更について、就労開始予定日の2か月以上前に在留資格変更許可申請を行うよう案内しています。

技能実習の実習計画が修了すると、その後は技能実習生として稼働することができません。

さらに、変更申請中であっても、実習計画が修了した後に技能実習生として働き続けられるわけではありません。

そのため、

「技能実習が終わってから特定技能の申請をすればよい」

という考え方は危険です。

技能実習2号から特定技能1号への移行で試験が免除される場合

技能実習2号を良好に修了し、特定技能1号で従事する業務と技能実習2号の職種・作業との間に関連性が認められる場合、原則として技能試験・日本語試験の合格が免除されます。

一方、関連性が認められない場合には、技能試験について別途合格が必要となる場合があります。

したがって、まず確認したいのは、

「技能実習2号で何の職種・作業をしていたのか」
「特定技能1号では何の分野・業務に従事するのか」

という2点です。

分野が変わる場合には、試験の要否などが変わる可能性があるため、申請前に確認しておく必要があります。

スピーディーな変更申請のために準備すること

特定技能への変更申請をスムーズに進めるためには、技能実習の修了直前から準備を始めるのではなく、早い段階から次の項目を確認しておくことが重要です。

① 技能実習の在留期限を確認

まず、在留カードを確認し、現在の在留期限を把握します。

② 技能実習の修了時期を確認

「在留期限」と「技能実習計画の修了日」は必ずしも同じとは限りません。

特に重要なのが、実習計画がいつ終了するのかです。

③ 特定技能の雇用契約を準備

特定技能1号として働くための雇用条件を整理し、必要な雇用契約書・雇用条件書等を準備します。

④ 支援体制を決める

特定技能1号では、受入れ機関が支援計画に基づく支援を行う必要があります。

自社支援を行うのか、登録支援機関へ委託するのかについても、早めに決めておきましょう。

⑤ 分野ごとの追加書類を確認

特定技能は分野によって必要となる書類や手続が異なります。

建設、自動車運送業、介護など、分野ごとの要件を申請前に確認することが重要です。

出入国在留管理庁は2026年10月1日に「特定技能」に係る提出書類一覧表を改定しています。申請時には最新の提出書類を確認しましょう。

「申請が間に合わない」ときはどうする?

では、技能実習の在留期限が迫っているにもかかわらず、特定技能1号への変更申請に必要な書類が間に合わない場合はどうすればよいのでしょうか。

一定の要件を満たす場合、「特定活動(6月・就労可)」へ変更する特例措置があります。

これは、特定技能1号への移行を予定しているものの、在留期限までに必要書類をそろえることができないなど、移行準備に時間がかかる場合に利用できる制度です。

この特定活動では、予定している特定技能1号の受入れ機関で就労しながら、特定技能1号への移行準備を進めることができます。

ただし、これは「申請が遅れても大丈夫」という意味ではありません。

出入国在留管理庁も、特定技能1号への移行が見込まれている場合には、必要書類を早めに準備し、できる限り直接、特定技能1号への変更申請を行うよう案内しています。特例措置の申請が増えることで、審査期間が長期化する可能性もあります。

特に注意!「変更申請中だから技能実習として働ける」わけではない

ここは企業の担当者が特に注意したいポイントです。

在留資格変更申請を行った後、在留期限を過ぎても一定の場合に在留できる「特例期間」があります。

しかし、特例期間に入ったからといって、技能実習の活動をそのまま続けてよいわけではありません。

出入国在留管理庁は、技能実習の実習計画が修了した後は、変更申請中であっても技能実習生として稼働することができないと明確に案内しています。

したがって、

技能実習の修了日
↓
特定技能への変更申請
↓
特定技能として就労開始

というスケジュールを、余裕を持って組むことが重要です。

2027年4月の育成就労制度も見据えた判断を

2027年4月1日からは、現在の技能実習制度に代わる育成就労制度が始まる予定です。

現在すでに日本に在留している技能実習生については経過措置が設けられますが、今後のキャリアを考えるうえで、技能実習から特定技能1号への移行を早めに検討することは重要です。

なお、技能実習法施行以前の「技能実習」等を修了した方については、特定技能1号への移行時の技能・日本語能力の証明について、2027年4月1日以降に取扱いが変更されることが出入国在留管理庁から公表されています。

技能実習から特定技能への変更申請は「期限から逆算」がポイント

技能実習から特定技能1号への移行で重要なのは、単に「必要書類を集めること」ではありません。

技能実習の修了日・在留期限・特定技能としての就労開始予定日を確認し、そこから逆算して申請準備を進めることがポイントです。

特に、

  • 技能実習の在留期限が近い
  • これから特定技能へ変更したい
  • 自社で引き続き雇用したい
  • 必要書類がまだそろっていない
  • 自社支援で受け入れたい
  • 別の会社へ転職して特定技能へ移行したい
  • 分野が変わるため試験が必要か分からない

という場合には、早めに確認することをおすすめします。

特定技能の在留資格変更申請は、申請時期だけでなく、外国人本人の要件・雇用契約・受入れ企業の要件・支援体制・分野ごとの要件まで確認する必要があります。

「まだ期限まで時間がある」と思っていても、書類の収集や追加資料の準備に時間がかかることがあります。

技能実習から特定技能1号への移行を予定している場合は、在留期限から逆算して、できるだけ早く準備を始めることが「間に合わない」を防ぐ一番のポイントです。

当事務所では、特定技能を専門とする行政書士として、技能実習から特定技能1号への在留資格変更申請、雇用契約や支援体制の確認、分野ごとの要件確認などをサポートしています。

技能実習生を引き続き雇用したい企業様や、特定技能への移行について「間に合うか心配」という企業様は、在留期限が迫る前にご相談ください。