2026年9月18日、出入国在留管理庁の特定技能制度に関するページにおいて、「特定の分野に係る要領別冊(物流倉庫分野)」が制定されたことが公表されました。
物流業界では人手不足への対応として外国人材の活用が注目されています。
今回の「物流倉庫分野」の要領別冊の制定は、物流倉庫で特定技能外国人を受け入れようと考えている企業にとって、今後の受入れ実務を考えるうえで重要な動きです。
この記事では、物流倉庫分野の特定技能について、企業が確認しておきたいポイントを整理します。
1.物流倉庫分野とは?
特定技能制度では、人材確保が困難な産業分野について、一定の要件のもとで外国人材を受け入れる制度が設けられています。
物流倉庫分野についても、特定技能制度の対象分野として制度整備が進められてきました。
出入国在留管理庁の2026年6月26日付の更新では、物流倉庫分野に関する上乗せ基準告示が掲載され、その後、2026年9月18日に「特定の分野に係る要領別冊(物流倉庫分野)」が制定されたことが公表されています。
つまり、物流倉庫分野で特定技能外国人を受け入れる企業にとって、今後は一般的な特定技能制度だけでなく、物流倉庫分野独自のルールを確認することが重要になります。
2.「要領別冊」とは何か?
特定技能について調べていると、
「運用要領」
「分野別運用方針」
「特定の分野に係る要領別冊」
など、似たような言葉が出てきます。
これらは、特定技能外国人を受け入れる際の具体的な要件や取扱いを確認するための重要な資料です。
出入国在留管理庁は、各分野について特定技能制度の運用に関する資料を公開しています。
特定技能では、すべての分野が全く同じ条件で運用されるわけではありません。
そのため、物流倉庫分野で受入れを検討する場合には、
「特定技能の一般的な要件」+「物流倉庫分野独自の要件」
という両方の視点から確認する必要があります。
3.なぜ物流倉庫分野の企業は注意が必要なのか?
物流倉庫で働く外国人材といっても、倉庫内で行う業務はさまざまです。
例えば、
- 入庫
- 出庫
- 検品
- 仕分け
- 保管
- ピッキング
- 梱包
- 搬送
など、さまざまな作業があります。
しかし、
「物流倉庫で働く仕事だから特定技能で受け入れられる」
と単純に判断することはできません。
重要なのは、実際に外国人が従事する業務が、物流倉庫分野において認められる業務に該当するかを確認することです。
特定技能では、分野ごとに従事できる業務が定められています。出入国在留管理庁も、各分野で従事できる業務については「特定の分野に係る要領別冊」を確認するよう案内しています。
4.物流倉庫で特定技能を受け入れる企業が確認すべきこと
物流倉庫分野で外国人材の受入れを検討している場合、まず次のような項目を確認する必要があります。
① 自社の事業が対象になるか
会社として物流倉庫分野の対象となる事業を行っているか確認します。
単に「倉庫を持っている」というだけではなく、実際の事業内容を確認することが重要です。
② 外国人が担当する業務は対象か
次に確認するのが、外国人が実際に行う業務です。
求人票に書かれている仕事内容だけではなく、実際の現場でどのような業務を行うのかまで確認する必要があります。
③ 会社側の要件を確認する
特定技能では、外国人本人だけではなく、受入れ企業側にも一定の要件があります。
税金・社会保険・労働関係法令の遵守など、企業側の適格性も確認されます。
④ 雇用条件を確認する
特定技能外国人だからといって、日本人より低い賃金で雇用できるわけではありません。
雇用契約や報酬について、特定技能制度の要件を満たしているか確認する必要があります。
⑤ 分野別の追加要件を確認する
物流倉庫分野では、一般的な特定技能の要件に加えて、物流倉庫分野特有の要件が関係します。
今回制定された「特定の分野に係る要領別冊」は、この点を確認するための重要な資料になります。
5.すでに特定技能を受け入れている企業も要注意
物流倉庫分野で今後受入れを行う企業だけでなく、すでに特定技能外国人を雇用している企業についても、制度変更時には確認が必要です。
特定技能制度では、提出書類や分野別の取扱いが更新されることがあります。
実際、2026年は物流倉庫分野だけでなく、さまざまな分野で制度資料の改定・更新が行われています。出入国在留管理庁の特定技能制度ページでも、2026年中に複数の分野別資料が改正・制定されています。
したがって、
「以前に特定技能の申請をしたことがあるから大丈夫」
ではなく、
「今回の申請時点で最新の資料を確認する」
ことが重要です。
6.物流倉庫分野の特定技能申請で行政書士が確認するポイント
物流倉庫分野の申請では、単純に申請書へ会社情報を記載するだけではありません。
例えば、
会社
↓
物流倉庫事業の内容
↓
実際の作業内容
↓
外国人が担当する業務
↓
分野別要件
↓
雇用契約
↓
本人の要件
↓
提出書類
という形で、全体の整合性を確認する必要があります。
特に注意したいのが、
「求人票の仕事内容」と「実際の業務」と「申請書類上の業務内容」が一致しているか
という点です。
ここにズレがあると、追加資料の提出や説明が必要になる可能性があります。
7.物流倉庫分野で外国人材の採用を考えている企業へ
物流業界では、人手不足への対応として外国人材の採用を検討する企業が増えています。
その一方で、特定技能は「外国人を雇用すればいい」という制度ではありません。
受入れ企業には、
- 外国人本人の要件
- 業務内容
- 雇用契約
- 報酬
- 企業側の要件
- 分野別要件
- 必要書類
- 入管への申請
- 受入れ後の届出
など、確認すべき事項があります。
物流倉庫分野についても、今回の要領別冊制定を機に、自社の受入れ体制を一度確認しておくとよいでしょう。
まとめ
2026年9月18日、出入国在留管理庁は「特定の分野に係る要領別冊(物流倉庫分野)」を制定しました。
物流倉庫分野で特定技能外国人の受入れを検討している企業にとって、これは重要な制度整備の一つです。
今後、物流倉庫で特定技能外国人を受け入れる場合には、
「物流倉庫だから受入れ可能」
と判断するのではなく、
①自社の事業
②外国人が実際に行う業務
③本人の要件
④企業側の要件
⑤物流倉庫分野の分野別要件
⑥最新の提出書類
を一つずつ確認する必要があります。
特定技能制度は、分野ごとに細かなルールが定められています。
物流倉庫分野で外国人材の採用を検討している企業は、最新の「特定の分野に係る要領別冊」を確認し、必要に応じて特定技能制度に詳しい行政書士へ相談することをおすすめします。

