「特定技能2号の試験に不合格だったら、5年で帰国しなければならない?」
「特定技能1号は5年までと聞いているけれど、もう少し日本で働くことはできないの?」
このような疑問を持つ特定技能外国人や、受入企業の担当者も少なくありません。
実は、特定技能2号評価試験等に不合格となった場合でも、一定の要件を満たせば、特定技能1号の通算在留期間について、原則5年を超えて「通算6年」まで在留が認められる可能性があります。
ただし、「2号試験に落ちたら誰でも1年間延長できる」という制度ではありません。
この記事では、特定技能2号への移行を目指している方や受入企業の担当者に向けて、この特例制度のポイントを分かりやすく解説します。
1.「2号試験に落ちても1年延長できる」は正確にはどういう意味?
まず、最も重要なポイントです。
特定技能1号の在留期間は、原則として通算5年以内です。
一方、特定技能2号への移行を目指して必要な試験等を受験したものの、不合格となった場合には、一定の条件を満たすことで、特定技能1号の通算在留期間を6年まで認めてもらえる可能性があります。
そのため、実務上「1年延長できる」と説明されることがあります。
しかし、これは自動的に1年間延長されるという意味ではありません。
正確には、
「一定の要件を満たし、5年を超えて在留することについて相当の理由があると認められた場合に、通算6年を上限として在留が認められる可能性がある」
という特例です。
したがって、
- 2号試験に不合格になった
- 5年を迎える
というだけで、必ず6年まで在留できるわけではありません。
2.誰でも対象になるわけではない
この特例を利用するためには、いくつかの条件を確認する必要があります。
特に重要なのが、特定技能2号への移行に必要な試験等の得点です。
記事の内容によると、対象となる人は、分野別の運用方針に定められた、特定技能2号への移行に必要な試験・検定等について、合格基準点の8割以上を取得していることなどがポイントになります。
ここで注意したいのは、
「試験に不合格だったけれど、点数が合格基準点の8割以上だった」
というケースが対象となり得るということです。
例えば、合格基準点が70点の試験であれば、その8割は56点です。
合格には届かなかったとしても、56点以上を取得しているかどうかが確認ポイントになります。
また、複数の試験・検定等が必要となる分野では、一部の試験だけではなく、必要となる全ての試験等について確認する必要があります。
そのため、単純に「2号試験を受けたけど落ちた」というだけでは判断できません。
3.本人にも「再挑戦する意思」が必要
この特例は、単に在留期間を延ばすための制度ではありません。
本人が、引き続き特定技能2号等への移行を目指すことが前提となります。
具体的には、本人について、
- 不合格となった試験等について、合格に向けて努力し、再受験する
- 合格した場合には、速やかに特定技能2号への変更申請を行う
- 介護分野の場合は、一定の条件のもと「介護」への変更を目指す
- 合格できなかった場合には、速やかに帰国する
といった内容の誓約が求められます。
つまり、単に「もう1年間日本で働きたい」という理由だけでは、この特例の趣旨とは合いません。
「あと1年あれば2号等への移行を目指せる」という具体的な計画が重要になります。
4.受入企業側にも準備が必要
本人だけではなく、受入企業側にも確認されるポイントがあります。
企業には、
「今後も本人を継続して雇用する意思があること」
に加えて、
「2号等の試験合格に向けた指導・研修・支援を行う体制があること」
が求められます。
例えば、
- 再受験のスケジュールを確認する
- 勤務シフトと学習時間を調整する
- 社内で試験対策を行う
- 外部の研修・講座を利用する
- 必要な試験や資格取得について情報提供する
など、本人が次のステップへ進むための支援体制を整えておくことが重要です。
「本人が自分で勉強すればよい」というだけではなく、受入企業としてどのように合格をサポートするのかを考えておく必要があります。
5.申請は5年満了直前では遅い?
この特例を検討している場合、早めの準備が非常に重要です。
記事では、特定技能1号の通算5年満了前、おおむね3か月前を目安に手続を進めることが紹介されています。
実際には、
「試験結果を確認する」
↓
「8割以上の得点要件を確認する」
↓
「必要な試験結果通知書をそろえる」
↓
「本人の意思・誓約を確認する」
↓
「企業の継続雇用・支援体制を確認する」
↓
「必要書類を準備する」
というように、確認事項が複数あります。
5年満了直前になってから準備を始めると、必要な資料が揃わない可能性もあります。
特定技能1号で働いている外国人については、5年満了日を早めに把握しておくことが重要です。
6.必要になる書類は?
特例を利用する場合には、通常の特定技能1号の手続に加えて、特例に関する資料を準備する必要があります。
記事では、主なものとして、
- 「通算在留期間を超える在留に関する申立書(参考様式第1-31号)」
- 特定技能2号への移行に必要な試験等の結果通知書
- 介護分野の場合の結果確認通知書
などが挙げられています。
特に注意したいのが試験結果通知書です。
単に「不合格だった」ということだけではなく、
何点取得したのか
合格基準点はいくつなのか
その8割以上を満たしているのか
を確認できる資料が必要になります。
そのため、特定技能2号を目指している方は、試験を受けた後の結果通知書を大切に保管しておくことをおすすめします。
7.介護分野は特に注意
介護分野については、他の分野と同じように「特定技能2号」を目指すわけではありません。
記事では、介護分野について、介護福祉士資格を取得した上で、在留資格「介護」への変更を目指す仕組みが説明されています。
そのため、介護分野の特定技能外国人については、
「2号試験に落ちたから1年延長」
と単純に考えるのではなく、
「介護福祉士国家試験への挑戦・在留資格『介護』への変更をどのように目指すのか」
という視点で確認する必要があります。
また、外食業や航空、工業製品製造業などについても、それぞれ必要となる試験や要件が異なります。
分野によって取り扱いが違うため、必ず最新の情報を確認することが重要です。
8.「6年まで在留できる」と考えてはいけない理由
今回の制度で最も注意したいのが、
「特定技能1号は6年間働けるようになった」
と誤解しないことです。
特定技能1号の基本的な考え方は、あくまでも通算5年以内です。
今回の取り扱いは、特定技能2号等への移行を目指している人が、一定の要件を満たした場合に限って、例外的に通算6年まで在留できる可能性があるというものです。
したがって、
「5年経過したけど、もう1年働きたい」
という理由だけで利用できる制度ではありません。
また、特定技能1号の通算在留期間には、特定技能で働いていない期間なども原則として算入されるため、そもそも自分の通算在留期間が何年なのかを正確に確認することも重要です。
9.企業・本人が今から確認しておきたいこと
特定技能2号等への移行を考えている場合は、5年満了直前になって慌てないよう、次の項目を確認しておきましょう。
【チェックリスト】
□ 特定技能1号の在留開始日・通算在留期間を確認する
□ 5年満了予定日を確認する
□ 2号等への移行に必要な試験・検定を確認する
□ 試験結果通知書を保管しているか確認する
□ 合格基準点の8割以上を取得しているか確認する
□ 必要な試験等がすべて揃っているか確認する
□ 本人に再受験・資格変更の意思があるか確認する
□ 企業側の継続雇用の意思を確認する
□ 試験合格に向けた研修・支援体制を準備する
□ 5年満了前に申請準備を開始する
特に、**「5年満了日」と「試験結果」**は早めに確認しておくことをおすすめします。
まとめ|「不合格=帰国」でも「自動的に1年延長」でもありません
特定技能2号評価試験等に不合格となった場合でも、一定の要件を満たせば、特定技能1号の通算在留期間について6年まで認められる可能性があります。
ただし、
「不合格なら誰でも1年延長できる」
という制度ではありません。
重要なのは、
- 必要な試験等で合格基準点の8割以上を取得しているか
- 必要な試験結果を証明できるか
- 本人に再受験・次の在留資格への移行意思があるか
- 受入企業に継続雇用と支援体制があるか
- 5年満了前に適切な準備・申請ができるか
という点です。
特定技能の制度は、分野によって必要な試験や要件が異なるうえ、制度改正や運用変更もあります。
「うちの社員は6年まで働けるの?」
「2号試験に不合格だったけれど、まだ日本に残れる?」
「5年満了まであと数か月しかないけれど、どうすればいい?」
このような場合は、5年満了直前ではなく、できるだけ早い段階で現在の在留期間、試験結果、分野別要件を整理することが大切です。
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