外国人を雇用する際、企業が必ず確認すべきものの一つが「在留カード」です。
在留カードを確認せずに雇用してしまうと、本人に働く資格がなかった場合、企業側も不法就労助長に問われるリスクがあります。特に、外国人雇用に慣れていない企業では、「在留カードを見たつもりでも、重要な欄を確認できていなかった」というケースも少なくありません。
この記事では、企業が外国人を採用・雇用する際に確認すべき在留カードの見方について、表面・裏面のチェックポイント、就労制限の確認方法、偽造カード対策までわかりやすく解説します。
在留カードとは
在留カードとは、日本に中長期間在留する外国人に交付されるカードです。
氏名、生年月日、国籍・地域、在留資格、在留期間、在留期限などが記載されており、その外国人が日本にどのような資格で滞在しているのかを確認するための重要な書類です。
外国人を雇用する企業は、採用時や在留期間の更新時などに、在留カードの内容を確認する必要があります。
まず確認すべきは「在留カードの表面」
外国人を雇用する際、まず確認したいのが在留カードの表面です。
表面で特に重要なのは、次の項目です。
- 氏名
- 生年月日
- 国籍・地域
- 住居地
- 在留資格
- 在留期間
- 在留期限
- 就労制限の有無
この中でも、企業が特に注意すべきなのが「在留資格」「在留期限」「就労制限の有無」です。
チェックポイント1:在留期限が切れていないか
最初に確認すべきなのは、在留期限です。
在留カードに記載されている在留期限が過ぎている場合、原則としてそのまま雇用を続けることはできません。
採用時だけでなく、雇用後も在留期限の管理が必要です。外国人社員の在留期間は人によって異なるため、企業側で更新時期を把握しておくことが重要です。
「入社時に確認したから大丈夫」と考えていると、いつの間にか在留期限が近づいていた、または期限が過ぎていたということもあり得ます。
外国人を雇用する場合は、在留期限を管理表などで記録しておくことをおすすめします。
チェックポイント2:「在留資格」と仕事内容が合っているか
次に確認すべきなのが、在留資格です。
在留資格とは、その外国人が日本でどのような活動をすることが認められているかを示すものです。
たとえば、企業でよく関係する在留資格には、次のようなものがあります。
- 技術・人文知識・国際業務
- 特定技能
- 技能
- 経営・管理
- 企業内転勤
- 留学
- 家族滞在
- 永住者
- 定住者
- 日本人の配偶者等
ここで重要なのは、「在留資格がある=どんな仕事でもできる」というわけではないことです。
たとえば、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で在留している人の場合、一般的には専門的・技術的な業務や、通訳、翻訳、海外取引、マーケティング、設計、システム開発などの業務が想定されます。一方で、単純作業中心の業務に従事させる場合は、在留資格との関係で問題になる可能性があります。
そのため、在留カードを見るときは、単に在留資格名を確認するだけでなく、「予定している仕事内容と在留資格が合っているか」まで確認する必要があります。
チェックポイント3:「就労制限の有無」を確認する
在留カード表面には、「就労制限の有無」という欄があります。
ここは、企業が特に見落としやすい重要なポイントです。出入国在留管理庁も、外国人雇用時には在留カード表面の「就労制限の有無」欄を確認するよう案内しています。(法務省)
主な記載例としては、次のようなものがあります。
- 就労制限なし
- 在留資格に基づく就労活動のみ可
- 就労不可
「就労制限なし」と記載されている場合、永住者、定住者、日本人の配偶者等など、就労活動に制限のない在留資格であることが多いです。
一方、「在留資格に基づく就労活動のみ可」と記載されている場合は、その在留資格で認められた範囲内の業務しかできません。
また、「就労不可」と記載されている場合は、原則として働くことはできません。ただし、裏面に資格外活動許可の記載がある場合は、その許可の範囲内で働ける場合があります。
裏面で確認すべき「資格外活動許可」
在留カードの裏面で特に重要なのが、「資格外活動許可欄」です。
資格外活動許可とは、現在持っている在留資格では本来認められていない収入を伴う活動を行うために必要な許可です。出入国在留管理庁によると、資格外活動許可は、現在の在留資格に属さない収入を伴う事業や報酬を受ける活動を行おうとする場合に必要な許可とされています。(法務省)
たとえば、「留学」や「家族滞在」の在留資格の方は、在留カード表面に「就労不可」と記載されていることがあります。
しかし、裏面の資格外活動許可欄に許可の記載がある場合、一定の範囲内でアルバイトなどが可能になることがあります。
留学生アルバイトは「週28時間以内」に注意
外国人アルバイトを雇用する場合、特に多いのが留学生の採用です。
留学生が資格外活動許可を受けている場合でも、無制限に働けるわけではありません。
一般的な包括的許可では、原則として1週28時間以内であることなどが条件とされています。出入国在留管理庁の案内でも、包括的許可の場合には、原則1週28時間以内であることなどが記載されています。(法務省)
企業側が注意すべきなのは、「自社での勤務時間だけ見ればよい」というわけではない点です。
本人が他社でもアルバイトをしている場合、複数の勤務先の合計で週28時間を超えてしまう可能性があります。
そのため、留学生を雇用する場合は、本人に他の勤務先の有無を確認し、労働時間の管理を慎重に行う必要があります。
在留カード確認で企業が見落としやすいポイント
企業が在留カードを確認する際、特に見落としやすいのは次のような点です。
1. 表面だけ見て裏面を確認していない
在留カードは表面だけでなく、裏面の確認も重要です。
特に、資格外活動許可の有無は裏面に記載されます。出入国在留管理庁も、資格外活動許可を確認する際には、パスポートの証印シールまたは資格外活動許可書の確認とあわせて、在留カードの裏面も確認するよう案内しています。(法務省)
2. 在留資格名だけで判断している
在留資格名だけを見て、「たぶん働けるだろう」と判断するのは危険です。
大切なのは、実際に担当させる業務内容と在留資格が合っているかどうかです。
3. 在留期限の管理をしていない
採用時に在留カードを確認していても、その後の在留期限管理ができていない企業もあります。
在留期限が切れる前に、本人が更新手続きを進めているか確認できる体制を作っておくことが大切です。
4. コピーを取るだけで内容を確認していない
在留カードのコピーを保管していても、内容を正しく確認していなければ意味がありません。
コピーを取ること自体よりも、在留資格、在留期限、就労制限、資格外活動許可の有無を確認することが重要です。
5. 偽造カードの可能性を考えていない
近年は、見た目だけでは判断しにくい偽造在留カードもあります。
そのため、目視確認だけでなく、必要に応じて在留カード等読取アプリケーションなどを活用することも重要です。
偽造カード対策には「在留カード等読取アプリケーション」も活用する
在留カードの偽造対策として、出入国在留管理庁は「在留カード等読取アプリケーション」を提供しています。
このアプリは、在留カード等のICチップ内に保存されている身分事項や顔写真などの情報を読み取り、券面に記載された情報と見比べることで、偽変造の有無を確認しやすくするものです。出入国在留管理庁のホームページ等で無料配布されています。(法務省)
在留カードの見た目だけでは判断が難しい場合でも、ICチップの情報と券面情報を照合することで、不自然な点に気づける可能性があります。
特に、外国人を継続的に雇用する企業や、アルバイト採用が多い業種では、こうした確認方法も取り入れておくと安心です。
企業が在留カード確認時に行いたい実務対応
外国人を雇用する企業では、次のような対応を行うとよいでしょう。
採用時に確認すること
- 在留カードの原本を確認する
- 氏名・生年月日を本人確認書類と照合する
- 在留資格を確認する
- 在留期限を確認する
- 就労制限の有無を確認する
- 裏面の資格外活動許可欄を確認する
- 必要に応じて在留カード等読取アプリケーションを利用する
雇用後に管理すること
- 在留期限を社内で管理する
- 更新時期が近づいたら本人に確認する
- 業務内容が変わる場合は在留資格との関係を確認する
- 留学生アルバイトの場合は勤務時間を管理する
- 他社勤務の有無も確認する
外国人雇用では、採用時だけでなく、雇用後の管理も重要です。
特に、配置転換、職種変更、契約内容の変更がある場合は、現在の在留資格でその業務を行って問題ないか確認する必要があります。
不安がある場合は専門家に相談を
在留カードの確認は、外国人雇用の基本です。
しかし、実際には「この在留資格でこの業務を任せてよいのか」「資格外活動許可があればどこまで働けるのか」「在留期限が近い人を採用してよいのか」など、判断に迷うケースもあります。
在留カードの記載内容だけでは判断しきれない場合もあるため、不安がある場合は、早めに行政書士などの専門家に相談することをおすすめします。
まとめ
外国人を雇用する企業は、在留カードを正しく確認する必要があります。
特に重要なのは、次のポイントです。
- 在留期限が切れていないか
- 在留資格と仕事内容が合っているか
- 表面の「就労制限の有無」を確認しているか
- 裏面の「資格外活動許可欄」を確認しているか
- 留学生アルバイトの場合、週28時間以内などの条件を確認しているか
- 偽造カード対策として読取アプリの活用も検討しているか
在留カードは、ただコピーを取ればよいものではありません。
企業側が内容を正しく確認し、在留資格に合った業務に従事させることが、不法就労を防ぐために重要です。
外国人雇用に不安がある企業様は、採用前の段階で一度ご相談ください。採用予定者の在留資格や業務内容を確認し、適切な雇用ができるようサポートいたします。

