特定技能外国人を採用する際、「登録支援機関はどこに頼めばいいのか」「できるだけ費用の安いところを選べばいいのか」と悩まれる事業所様は少なくありません。
登録支援機関への委託費用は、もちろん重要な判断材料です。
しかし、特定技能外国人を長く雇用し、安定して働いてもらうことを考えるのであれば、費用だけで登録支援機関を選ぶことはおすすめできません。
登録支援機関は、特定技能外国人が入社した後も、生活面・仕事面での相談対応や定期的な面談など、継続的に外国人を支援する立場です。
そのため、採用前の段階から「どのような支援をしてくれるのか」を確認しておくことが重要です。
今回は、特定技能外国人の採用を検討している企業・介護事業所様が、登録支援機関を選ぶ際に確認しておきたいポイントをご紹介します。
1.事業所の近くに登録支援機関の拠点があるか
まず確認したいのが、登録支援機関が受入れ事業所の近くで活動しているかという点です。
登録支援機関によっては、全国対応を掲げていても、実際の支援担当者が遠方にいるケースがあります。
もちろん、オンラインで対応できる相談もあります。
しかし、特定技能外国人の支援では、実際に事業所を訪問して、外国人本人や現場の担当者と顔を合わせることも重要です。
特に、
- 外国人本人から相談があったとき
- 職場で問題が発生したとき
- 生活面で困っているとき
- 事業所と外国人との間に認識の違いがあるとき
などは、必要に応じて直接訪問できる体制があるかどうかが大きなポイントになります。
「近くに拠点があるか」は、単なる距離の問題ではなく、採用後の支援体制にも関係するポイントです。
2.採用前の商談・説明の段階で訪問してくれるか
登録支援機関を選ぶ際には、契約後だけではなく、契約前の対応も確認してみましょう。
例えば、
「一度事業所を見てから支援内容を説明します」
「現在の外国人雇用についてお話を聞かせてください」
「実際の勤務体制や外国人スタッフの状況を確認したいです」
といった形で、受入れ企業の状況を把握しようとしてくれる登録支援機関は、採用後の支援についても具体的に考えている可能性があります。
反対に、十分なヒアリングをしないまま、
「この金額で全部対応できます」
と価格だけを提示する場合には、実際の支援内容を確認することが大切です。
採用前の対応は、採用後の支援を考えるうえでも重要な判断材料になります。
3.実際にどのような支援をしているのか確認する
登録支援機関を選ぶ際には、「義務的支援をやっています」という説明だけで判断するのではなく、実際にどのような支援を行っているのかを確認することが重要です。
例えば、
- 定期面談をどのくらいの頻度で行っているのか
- 面談では何を確認しているのか
- 面談後の報告書をどのように作成しているのか
- 外国人から相談があった場合、どのように対応しているのか
- 相談内容を事業所へどのように報告しているのか
- 生活上の問題が発生した場合に誰が対応するのか
- 休日や夜間に問題が発生した場合の連絡体制はどうなっているのか
などを確認しておきましょう。
可能であれば、実際に使用している面談報告書や支援記録のサンプルを確認することもおすすめです。
「支援します」という言葉だけではなく、どのような方法で支援し、どのような記録を残しているのかを見ることで、その登録支援機関の支援体制がより具体的に分かります。
能に詳しい」というだけではなく、「自社の業界・仕事内容について理解しているか」という視点が大切です。
4.受入れ業種について十分な知識があるか
登録支援機関を選ぶ際には、特定技能の制度だけでなく、実際に受け入れる業種について十分な知識や理解があるかを確認することも重要です。
特定技能には、介護、ビルクリーニング、工業製品製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、自動車運送業、鉄道、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業、林業、木材産業など、複数の分野があります。
※特定技能の対象分野は制度改正によって変更される場合があるため、受入れ時点で最新の対象分野を確認することが必要です。
それぞれの分野によって、対象となる業務や必要な技能、日本語能力、試験、勤務形態、現場で想定される課題などが異なります。
例えば、介護であれば介護現場特有の勤務体制や業務内容、建設であれば現場での安全管理や職種ごとの業務、飲食料品製造業であれば製造現場の衛生管理、宿泊であれば接客やフロント業務など、分野によって外国人材が働く環境や必要となる知識は大きく異なります。
そのため、
- 自社が受け入れる分野の業務内容を理解しているか
- その分野の特定技能制度について十分な知識があるか
- 実際にその分野の外国人を支援した実績があるか
- 現場で起こりやすい問題や相談内容を理解しているか
- その業種に適した外国人材の採用・定着について提案できるか
といった点を確認してみましょう。
特に重要なのは、「特定技能に詳しい登録支援機関」=「自社の業種にも詳しい登録支援機関」とは限らないということです。
登録支援機関を選ぶ際には、「特定技能の支援実績は何人ですか?」という質問だけでなく、
「当社と同じ業種で、これまでどのような支援をしてきましたか?」
と具体的に確認することをおすすめします。
受入れ業種に対する理解がある登録支援機関であれば、外国人本人からの相談を受けた際にも、単に言葉を取り次ぐだけではなく、業務内容や職場環境を踏まえて、企業と外国人双方に適切な対応を考えることができます。
登録支援機関を選ぶ際は、料金や支援人数だけではなく、**「自社が受け入れる分野について、どれだけの知識・経験があるのか」**という視点からも比較することが重要です。
5.外国人の定着率や離職状況を確認する
特定技能外国人の採用では、「入社できたか」だけでなく、その後、どれだけ長く働いているかも重要です。
登録支援機関に相談する際には、
「これまで何人くらい支援してきたのか」
「外国人の離職はどのくらいあるのか」
「転職する場合、どのような理由が多いのか」
「長く働いている外国人はどのような支援を受けているのか」
などを確認してみましょう。
もちろん、定着率だけで登録支援機関の良し悪しを判断することはできません。
外国人本人の事情や、受入れ企業の労働環境、給与、勤務条件、人間関係など、定着にはさまざまな要因が関係するからです。
ただし、外国人の定着についてどのように考え、どのような取り組みをしているのかを確認することには大きな意味があります。
6.面接時の日本語力だけで判断しない
特定技能外国人の採用では、面接時の日本語能力も重要なポイントです。
しかし、面接時に日本語で会話ができたからといって、必ずしも入社後のコミュニケーションに問題がないとは限りません。
重要なのは、面接に至るまでにどのような教育・指導が行われていたのかです。
例えば、
- 日本語教育をどのくらい行っているのか
- 介護など職種に合わせた日本語教育を行っているのか
- 日本の生活習慣について教育しているのか
- 面接前にどのような準備をしているのか
- 面接時の日本語力をどのように評価しているのか
などを確認することで、送り出し機関や紹介会社などの事前教育の質を判断する材料になります。
面接時の日本語力は、採用後のコミュニケーションだけではなく、採用前の教育体制ともリンクしています。
「日本語が話せる外国人を紹介してくれる」という結果だけを見るのではなく、そこに至るまでの教育・選考プロセスも確認することが大切です。
7.「何をしてくれるのか」を契約前に明確にする
登録支援機関を選ぶ際には、料金だけでなく、その料金に何が含まれているのかを確認しましょう。
例えば、
- 入国・入社時の支援
- 生活オリエンテーション
- 相談・苦情への対応
- 定期面談
- 面談報告
- 行政機関への必要な届出に関する対応
- 生活上の手続きのサポート
- 緊急時の対応
など、具体的な支援内容を確認することが重要です。
登録支援機関によって、対応方法や連絡体制、訪問頻度などには違いがあります。
そのため、
「月額○万円だから安い・高い」ではなく、「その費用で何をしてくれるのか」
という視点で比較することをおすすめします。
登録支援機関選びは「採用後」を見据えて
特定技能外国人の採用は、在留資格の申請が完了したら終わりではありません。
むしろ、入社してからが本当のスタートです。
外国人本人が安心して働き、受入れ企業にも長く定着してもらうためには、採用前のマッチング、入国・入社後の生活支援、職場での相談対応、定期的な面談など、継続的なサポートが重要になります。
だからこそ、登録支援機関を選ぶ際には、
「安いかどうか」だけではなく、
「近くで支援してくれるか」
「実際に訪問してくれるか」
「どのような支援を行っているか」
「自社の業種を理解しているか」
「外国人の定着について考えているか」
という視点で比較することが大切です。
L&C行政書士事務所では、登録支援機関選びからご相談いただけます
L&C行政書士事務所では、特定技能に関する在留資格申請だけでなく、特定技能外国人の採用から登録支援機関選びまで、企業様の状況に合わせたご相談を承っています。
長年にわたる外国人採用・特定技能分野での経験をもとに、
「どのような登録支援機関を選べばいいのか分からない」
「現在利用している登録支援機関の支援内容を見直したい」
「費用だけでなく、しっかり支援してくれるところを探したい」
「介護分野に詳しい登録支援機関に依頼したい」
といった企業様のご相談にも対応しています。
また、企業様の所在地や受入れ業種、外国人の人数、現在の支援体制などを踏まえ、企業様に適した登録支援機関をご紹介することも可能です。
特定技能の採用では、申請手続きだけでなく、採用後の支援体制まで含めて考えることが重要です。
「申請を誰に頼むか」だけではなく、「採用した外国人を誰が支えるのか」。
この視点から登録支援機関を選ぶことで、外国人本人にとっても、受入れ企業にとっても、より安心できる特定技能制度の活用につながります。
特定技能の在留資格申請はもちろん、登録支援機関の選び方や変更、支援体制の見直しについても、ぜひL&C行政書士事務所へご相談ください。

