「外国人スタッフの在留期限が近づいてきたので、いつものように更新申請をしようとしたら、『今回は更新ではなく変更申請です』と言われてしまった……」
特定技能外国人を受け入れている企業の担当者様から、このようなご相談をいただくことがあります。
特定技能の在留手続では、「在留期間更新許可申請(更新申請)」と「在留資格変更許可申請(変更申請)」を正しく区別することが重要です。
特に、外国人本人が転職する場合には注意が必要です。
「前の会社でも特定技能だったから、次の会社でも更新すればよい」と考えてしまうと、必要な手続を誤る可能性があります。
この記事では、特定技能における「変更申請」と「更新申請」の違い、転職時の注意点、必要書類の考え方について、分かりやすく解説します。
1.特定技能の「変更申請」と「更新申請」の違い
まず、最も重要なポイントを確認しましょう。
在留期間更新許可申請(更新申請)とは?
現在持っている在留資格を変更せず、現在認められている活動を引き続き行うために、在留期間を延長する手続です。
例えば、
- 現在の会社で引き続き勤務する
- 現在の特定技能の活動を継続する
- 在留期限が近づいているため、引き続き日本で働く
といった場合には、原則として「在留期間更新許可申請」を検討します。
つまり、簡単にいうと、
「仕事内容や所属機関などの基本的な状況は変わらないが、在留期限を延長したい」
という場合の手続です。
在留資格変更許可申請(変更申請)とは?
一方、現在の在留資格から別の在留資格へ変更する場合や、特定技能について現在の許可内容を変更する場合には、「在留資格変更許可申請」が必要になります。
特定技能では、代表的なケースとして、
- 他の会社へ転職する
- 特定産業分野を変更する
- 現在の在留資格から特定技能へ変更する
- 特定技能1号から特定技能2号へ変更する
などがあります。
特に重要なのが、特定技能外国人が別の会社へ転職するケースです。
2.特定技能外国人が転職するときは「更新」ではなく「変更」が原則
特定技能で最も間違いやすいのが、転職時の手続です。
例えば、現在A社で「特定技能1号」として働いている外国人が、B社へ転職する場合を考えてみましょう。
この場合、
「特定技能1号のままだから、在留期限が来たら更新申請をすればいい」
とは限りません。
所属する会社が変わるため、原則として在留資格変更許可申請が必要です。
特定技能では、外国人本人だけでなく、特定技能所属機関や活動内容などについても在留資格上の確認が行われます。
そのため、転職後も以前の会社に所属しているときと同じように「更新申請」をすればよい、という考え方ではありません。
3.転職先で働き始める前に注意したいこと
ここは、特定技能外国人を受け入れる企業が特に注意したいポイントです。
転職先が決まったからといって、在留資格変更許可を受ける前に、新しい会社で特定技能の業務を開始できるわけではありません。
原則として、転職先で特定技能として就労するためには、必要な在留資格変更の手続を行い、許可を受ける必要があります。
したがって、
「退職 → すぐに新しい会社で勤務開始 → 後から変更申請」
という流れは避ける必要があります。
転職が決まった段階で、現在の在留期限だけでなく、変更申請の準備期間や審査期間も考慮してスケジュールを組むことが大切です。
4.同じ会社でも「変更申請」が必要になる場合がある
「会社が変わらなければ、必ず更新申請でよい」と考えるのも注意が必要です。
例えば、特定技能外国人が現在の特定産業分野とは異なる分野へ変更する場合など、現在の在留資格で認められている活動内容を変更するケースでは、在留資格変更許可申請が必要になることがあります。
そのため、判断するときは、
「在留期限が近いかどうか」だけを見るのではなく、「現在の在留資格に基づく活動や所属機関等に変更があるか」
を確認することが重要です。
5.変更申請と更新申請では、必要書類にも違いがある
特定技能の在留申請では、外国人本人に関する書類だけでなく、特定技能所属機関や分野に関する書類などが必要になる場合があります。
特に変更申請では、転職先となる特定技能所属機関について、受入れの適正性や雇用条件、社会保険・税などに関する事項を確認するため、必要な資料を事前に整理しておくことが重要です。
一方、更新申請については、一定の条件を満たす場合、所属機関に関する一部の提出書類が省略できる制度があります。
ただし、「変更申請なら必ず書類が多い」「更新申請なら必ず簡単」というわけではありません。
所属機関の状況や過去の申請・届出の状況、利用している申請方法などによって、必要となる書類が異なる場合があります。
申請前には、その時点での出入国在留管理庁の最新の提出書類一覧を確認することが大切です。
6.2025年4月から特定技能の手続も一部変更されています
特定技能制度については、2025年4月1日から運用が変更され、定期届出の見直しや在留諸申請における提出書類の省略に関するルールなども変更されています。
そのため、以前作成したチェックリストや、過去の申請時に使用した書類をそのまま使うのではなく、現在の制度・最新の様式・提出書類を確認することが重要です。
また、2026年4月以降には一部の特定産業分野について、在留申請オンラインシステムの入力方法に関する案内も更新されています。
7.「変更申請」と「更新申請」の判断を簡単に整理
実務上は、次のように整理すると分かりやすいでしょう。
| ケース | 原則として検討する手続 |
|---|---|
| 同じ会社で現在の特定技能の活動を継続する | 在留期間更新許可申請 |
| 特定技能外国人が別の会社へ転職する | 在留資格変更許可申請 |
| 特定技能の特定産業分野を変更する | 在留資格変更許可申請 |
| 留学などから特定技能へ変更する | 在留資格変更許可申請 |
| 特定技能1号から特定技能2号へ変更する | 在留資格変更許可申請 |
※実際の手続は、外国人本人の在留資格、活動内容、所属機関、分野などによって異なる場合があります。
8.特定技能の申請でよくある間違い
特定技能の在留手続では、次のような誤解が生じやすいため注意が必要です。
間違い①「在留期限が近い=更新申請」
在留期限が近いことだけを理由に、更新申請を選択するのは適切ではありません。
まず、会社・活動内容・在留資格などに変更がないかを確認しましょう。
間違い②「特定技能のままだから転職しても更新でよい」
これも注意が必要です。
特定技能1号のままであっても、所属する会社が変わる場合には、原則として在留資格変更許可申請が必要です。
間違い③「変更申請を出せば、その日から新しい会社で働ける」
変更申請を提出したことと、新しい会社で就労できることは同じではありません。
変更許可前の就労開始については、特に慎重な確認が必要です。
間違い④「前回の申請書類をそのまま使えばいい」
特定技能制度は運用が変更されることがあります。
過去の申請時に使用した書類だけを基準にせず、最新の提出書類や様式を確認しましょう。
9.まとめ
特定技能の「変更申請」と「更新申請」は、名前が似ているため混同されやすい手続ですが、判断のポイントを押さえておけば整理できます。
更新申請は、現在の在留資格に基づく活動を継続し、在留期間を延長するための手続です。
一方、変更申請は、転職などによって所属機関が変わる場合や、在留資格・活動内容を変更する場合に必要となる手続です。
特に特定技能外国人が転職する場合には、
「特定技能だから更新」ではなく、「転職によって何が変わるのか」を確認すること
が重要です。
また、特定技能の申請では、外国人本人だけでなく、受入れ企業側の要件や雇用条件、税・社会保険等に関する確認が必要となる場合があります。
在留期限が迫ってから準備を始めるのではなく、転職や在留資格変更の予定が分かった段階で、必要な手続を早めに確認しておくことをおすすめします。
特定技能の変更・更新申請で「このケースはどちらの手続になるの?」と迷った場合は、個別の事情を確認したうえで、早めに専門家へ相談しましょう。
当事務所では、特定技能外国人の受入れ・転職・在留資格変更・在留期間更新に関する手続について、企業様・登録支援機関様をサポートしています。
「更新でいいのか、変更が必要なのか分からない」
「転職する特定技能外国人の手続を確認したい」
「必要書類を整理したい」
といった場合も、お気軽にご相談ください。

